最高裁判所第二小法廷 昭和28(あ)1744 決定
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人の上告趣意は事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であり、弁護人
小林亀郎の上告趣意は判例違反をいうけれども、その実質は単なる刑訴法違反の主
張にほかならないから、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。そして、
記録を調べると、被告人は、ネマトール服用後二時間後に下剤を飲むよう指示して、
薬を被害者に渡しているのであるが(二一四丁)、第一審判決の挙示するA(鑑定
人)の尋問調書によれば、ネマトール一五球は極量の数倍であつて致死量であり、
また服用後数分乃至十数分後に薬効をあらわし、二時間位たてば薬は充分吸収され
るので下剤を飲んでも効果はないことが述べちれており(一一五丁、一一七丁裏)、
その他第一審判決挙示の各証拠に照らし、本件における因果関係の存在について疑
問を容れる余地はない。原判決も結局右の趣旨を判示したものと解されるのであつ
て、所論理由不備の違法はなく、その他本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由
は認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で
主文のとおり決定する。
昭和二九年一一月一〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
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